ござレス家族

「パパ！レジャーシート！」

私は秘策としてシートの代わりにござを用意した。い草の香りで癒し効果。私はござを…ない。

「忘れたの？！」

目線が冷たい。妻と娘に土下座し、立ちながら弁当を食べる私達。妻と娘はこそこそし始めた。

「なんでパパと結婚したの？」
「財産目当てよ」
「わかるー。ああ、座りたい」

聞こえてるぞ。ああ、なんと私は不幸な星の下に生まれた事か。二人から離れて空を仰いだ。突然、ござが目の前に落ちてきた。

“わが星の下に生まれた男よ。探し物はこれか？わしか？ゴンザレス。闘牛士じゃ”

そんな事聞いていないけど、ありがとう。
私は赤いござを広げた。まるで闘牛士のように。座りたい妻と娘は闘牛のようにござめがけて飛んでくるはず。

「ござだよ！」

飛んできた。林檎が。

私の顔に直撃し、めり込んだ。そして妻は箸を弓のように放ち、林檎に刺さった。どうやら妻の星は英雄のようだ。