青い鳥家族

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父親は会社から帰っても、一人で黙って鍵を開け「ただいま」とも言わずに家に入る。誰も「お帰りなさい」とも言わない。息子や娘はスマホやゲームをしている。妻はテレビを見ている。
どれほどの体力と気力を消耗し、帰宅しているかは家族は想像すらしない。友達、学校や近所の人だったら、気遣った態度を普通に出来るのに。
昔の父親という硬いイメージは年々薄くなり、妻や子供達は履き違えた自由を謳歌していた。
夫は妻に労れたいと思い、妻も夫に対し同じように思う。
子供は親に褒められたい、認められたいと思う。

そんな日のある朝、その家族の家に一羽の幸福を呼ぶ“青い鳥”が舞い降りた。
それ以降、次第に家族の心は穏やかになり、お互いを気遣うようになった。
家に辿り着いた時、ホッとして心から「ただいま」と言え、中にいる家族も心から「お帰りなさい」と出迎える。
これこそが家族の絆なのだと気付かされた。
ファンタジー
公開:20/04/09 09:47
更新:20/04/09 11:13

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