マッシュルーム家族

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あるキノコ栽培業者がマッシュルームの形に似た新種の食用キノコを販売した。
遺伝子操作によって大量生産されたことから、これまでスーパーマーケットや八百屋で売られていた生マッシュルームより安くて美味しいと、主婦の間で大評判になった。
そんなとき、毎日のように新種のキノコを食べていた家族に異変が起こった。
妙に髪型を変えたくなり、お父さんもお母さんも息子も娘も、さらに同居していたお祖父さんやお祖母さんまでマッシュルームカットになった。しかも聴く音楽も家族全員がビートルズだ。
そして、明るく日当たりの良い家が住みづらく感じるようになり、じめじめと湿った暗い森林の中や山奥に移り住むようになった。
これまで過疎地だった田舎は賑やかな新興住宅街に様変わりし、家の形もマッシュルームのキノコハウスだ。
国も毒キノコではないことから食べることを規制せず、ついに「マッシュルーム家族」と呼ばれる社会現象になった。
SF
公開:20/04/10 17:30
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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