視える家族

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この家族は、誰もが霊感の強い『視える』家族だ。
父親、母親、娘、息子の四人家族である。両親とも除霊ができるレベルだ。その能力は、先祖代々らしい。

女子高生の長女リサは、最近その能力に気づいたようで、家族に話したくてしかたない。
「今日さぁ、いたのよ。バイト先のレストランで、女が」
「視えたからって、あんまり関わるな。取り憑かれたら厄介なんだぞ」
父親が心配そうに言う。と同時に母親が霊視する。
「祟り系では無さそうね。で?」
祟り系とは、その土地に関わる恨みを持った最強の幽霊なのだ。
「店長をずうっと睨んでんのよ、あれ元カノだと思う。マジ怖かった」
その時、弟のハルトが部屋中を見廻した。
「姉ちゃん、ちょっと黙って」
「いるの? ハルト」
ハルトは、気配を消す能力の高い霊体まで察知する強者だ。
「さっきから、小説の語り手みたいに俯瞰で語ってるやつがいるんだよね」

……チッ、気づかれたか。
その他
公開:20/04/10 12:16
更新:20/04/30 01:14
〇〇家族

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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