睡眠×慣性

眠い。
寝ても寝ても寝ても眠い。
多分さっき起きたばかりだが既に眠い。眠いと言ったそばから、瞼が重いし身体も重い。これで何時間寝たかと時計を、見る前に寝ている気さえする。
どうやら睡眠にも慣性があり、人間は入眠からレム睡眠、ノンレム睡眠を一定サイクルで繰り返しているらしい。このサイクルと起床タイミングが合わないと、意識は起きようと頑張っても、体は寝ようとしているので起きられない。無理に起きても朦朧としたり、不調を来したり、あえなく二度寝に突入したりする。
慣性というからには、状態は保持される。タイミングをことごとく外した場合、延々眠り続ける事もあるのかも知れない。別に実証したいわけでもないが、それにしても眠い。私はいつから眠っているのか。
――ちぃん、とベルが鳴る。私の目覚ましはこんな音だったか、頭がぼんやりして思い出せない。誰かの低い声と、朝食とは違う煙の匂いに、また酷く眠気を誘われる。