猟師の三鋤

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 三鋤(さぶすく)は村の猟師である。その話を聞いたときはそんなうまい話があるものか、おおかた狐か物の怪の仕業じゃろうと思った。しかしその旅人が言うには、月々にきまった銭を見放台という賽銭箱にいれるとあらゆる娯楽が楽しめると言う。旅人は三鋤に耳打ちした。

「動く春画もありますよ……」

「う、動く春画!?」

 三鋤は息を飲んだ。何しろ山に猟に出れば、猟の合間に懐にしのばせた春画を見て楽しむ三鋤である。しかし都で売られる春画は高い。猟の売上を持ってしても、なかなか質の良い春画にはありつけなかった。

「はい。麩庵座と申します」

「ふ……ふあんざ!?」
その他
公開:20/05/25 19:15

千億アルマ( Tokyo, Japan )

Senoku ALMA
https://note.com/shiro_mid

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