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からんころんからん。


炎天下の蒸し暑さが、うなじに滴る汗となって流れていく。
わたしに在る、ちいさなナイアガラの滝。なんておもったり。ふふ。

蒸し暑さを流すために、ペダルに力をおもいっきり加える。全体重をペダルに、そして、風にのせていく。ふふ。

ナイアガラの滝は勢いをとめない。手ぬぐいなんて、必要ない。ただ風に身を任せるだけ。

折り返し地点のちいさな酒屋まで来たらしい。からんころんからん。おじいちゃんが出てきた。

今日も部活かい?なつやすみなのに、えらいねえ。

なんて言いながら、ラムネをかごにいれてくれた。『ソラムネ』ってラベルシールが貼られているのに、池みたいないろをしている。

ちゃりんちゃりん。ふり向くと、汗にさんずいをもう一つ足してもいいような青年。

ああ、どうか、この潤いすぎたナイアガラの滝を、見ないでくれ。

からんころんからん。

ビー玉も青年も、過ぎてった。
青春
公開:20/05/24 12:39

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