高級天然水

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俺は室内を見回した。棚に飾られた、大小様々、色とりどりのボトルたち。見ているだけで、惚れ惚れする。長年かけて手元に集めたコレクションの数々だ。
俺は一口、くいっとボトルを傾ける。口に広がるのは、形容し難いほのかな甘味。次が欲しくなる味わいをしている。
ボトルの中には透明で、キラキラの水が揺れている。見た目のボトルも美しく、味も美味しいとは驚かされる。思わずウットリしてしまう。
気分良く、テレビの前のソファに腰掛ける。流れていたのはニュースだった。

「国内でシェアを拡大させている『高級天然水』の販売が、詐欺行為に当たる可能性があるとして、警視庁が調査を進めていることが明らかになりました。また、水の成分には中毒をーー」

すぐさまテレビの電源を落とした。最近、この水に対する中傷行為が目立って仕方ない。自分が害された気分になる。
俺は一口ごくりと飲み込む。快感が、喉元をするりと落ちていった。
その他
公開:20/05/24 19:28

早見並並( 神奈川県 )

物語創作に興味があります。

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