春を求めて

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 夢を見た。自分だけが仲間外れにされ、一人ぼっちの夢。逃げても、逃げた先が行き止まりだった夢。
 みんなはピアノの演奏会に行き、その感想を語り合っていた。僕は、語るべきものを何も持っていなかった。
 惨めだった。僕は愛されたいと思った。
 どうしてこんな夢を見てしまうのだろう。見たくもない夢。けれど、僕が現実で、一番求めているもの。温もり。
 こんなことを思う僕は、気持ち悪いのだろうか。けれど、本当にみんなは、気持ち悪い、そう言って笑えるのかい? もしそう言って笑えるのだとしたら、それは君が満たされているだけだよ。きっと、そうだ。
 容姿がよければ、そう思う。美は、否応なく、目に訴えかける。ときに人間を悶えさせ、ときに不愉快にさせる。僕の目には、外国人の彫りの深い顔が、眩しく写る。直視することが、困難なほどに。
 僕は、ギュッと目を閉じた。また、夢を見るために。
その他
公開:20/05/24 16:00

杉将

基本的に、無、です。

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