人体アドベンチャーツアー

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人体アドベンチャーツアーが大ブームだ。
水陸両用のカプセル型探検車両に乗り込み、スイッチを押せば超ミクロの微粒子の大きさになる。
人間ドッグの受診者に協力してもらい、麻酔で眠っている人体でツアーを敢行する。
例えば、消化器官コースでは、出発地点は口で、舌の上から食道を通り、酸性の体液を出して物を溶かすため最大の難所といわれる胃、そして肝臓、膵臓、脾臓に立ち寄って、つづら折りの小腸、大腸を経て、放屁のジェット気流とともに肛門から外に出る。
ほかにも、脳内を観光したり、心臓の鼓動や肺の呼吸を器官の中で感じたり、血管の中を循環するオプショナルツアーも大人気だ。
人体の仕組みを目の当たりにしながら体験できることから、修学旅行で利用する学校も多い。
人体アドベンチャーツアーによって、メディカルチェックもできることからクリニックや病院でも大好評で、ツアー参加者が支払う旅費が思わぬ副収入になっている。
SF
公開:20/05/23 07:04
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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