秘密の小箱。

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 日曜日なのに、朝から雲は機嫌が悪く、一時間もすると、雨が降った。まるで、失敗続きで塞ぎ込んでいる、僕のようだった。こんな日々、嫌になる。

 玄関で呼び鈴が鳴る。


 sから荷物が届いた。
 品名には、“秘密の小箱”とある。
 段ボールを開ける。小箱を取り出し、そっと開けてみる。すると…。

 朝焼け。野に咲く菫の花。キラキラと輝く北極星。青空と向日葵。そして、楽しげに笑う僕ら。プロジェクターで映し出されているように、素敵な情景が目の前に浮かび上がった。

 …小箱を覗き込むと、一通の手紙があった。

 “秘密の刹那をあなたにも。”
 そして、小さな小さな文字で、
 “ I'm always on your side. ”
 と、小箱に刻まれていた。


 刹那。そうか時は一瞬。過ぎてゆくばかり。急に日々が愛おしくなり、一瞬一瞬を大切に生きていこうと思った。
 今度は君に。僕の刹那を。
その他
公開:20/05/23 20:57
更新:20/05/23 22:23
あなたの大切な一瞬は どんなものですか?

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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