はるばる先に

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温かな日差しの下、心地よい風が吹く草原で寝転んでいたら何か飛んできた。
ああ…またか。俺の周りにはよく野球のボールが飛んでくる。
俺は腰を上げるとボールを拾い上げた。
ボールから大歓声が聞こえ、その熱気に俺の心も熱くなる。
まったく…親友にも困ったものだ。
俺としてはもう少しここでゆっくりしたいんだが、親友は「早く戻って来い」と言わんばかりにホームランボールを打ち込んでくる。
そういや親友は俺の遺影の前で「俺は必ずお前のもとにホームランを届けてやる!」と涙ながらに約束してくれた。
まさか有言実行するとは思わなかったよ。大空を越え、はるばる先の天国にまで届くホームランボール。
ああ、分かったよ親友。俺もすぐに生まれ変わるから。
そしたら、子供の俺と一緒にまた野球をしてくれよ。
公開:20/05/23 18:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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