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戦況は最悪。残存兵は重傷者多数。食糧枯渇、弾薬不足、拠点被害は甚大。次の襲撃を防ぐ術は残っていない。
撤退ルートはひとつだけ。それも、最前線の拠点である隣の島が陥落していなければの話だ。依然として通信は途絶えたまま。隣の島の戦況は不明だった。
隊長は苦悶した。隣の島で戦闘中の弟に連絡を取り、本国への撤退を果たさなければ。
夜、隊長は兵舎で不思議な声を聞いた。
「山頂に林檎がある」
翌日、調査兵を山へ向かわせると大量の林檎を抱えて戻ってきた。
隊長は声に感謝した。
その日の夜、再び声が聞こえた。
「3日後に霧で海を包む。撤退はその時」
3日後、不思議な霧が海を覆った。視界不良の中、隊長は声に導かれ撤退を成功させた。
隣の島の隊は…。
弟は撤退できただろうか。
霧が晴れる間際、微かに声が届いた。

「兄貴…生き…よかった…」

そう、だったのか…。
隊長は黙ったまま、霧の先にある島に敬礼した。
ファンタジー
公開:20/05/23 18:25
更新:20/05/23 18:26
原案:のりてるぴかジュニア

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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