ぶれない男
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あるところに、「出世」に命を懸けている熱心な会社員がいた。
とにかく上司には媚び、朝から深夜まで、深夜から朝まで働いた。「いつ寝ているのだろうか」と聞くと、社員は「仕事をしながら寝ている」と答えた。しかし、なんだかんだアルバイト社員もパート社員もその男の働きに助けられていたので、何も言わなかった。そして、出世に全力を注いだその社員の行く末を皆で見守った。
三年後、社員は過労で死んだ。
さて、死後の世界筋の情報によれば、今その社員は閻魔大王の資格をとるために地獄で命を懸けているらしい。いや、もっとも地獄なわけだから命はないのだが、閻魔大王にも階級があるらしく、そこで頂点を狙っているという。ぶれないな、と聞いていた者は感心した。
そして数十年の時が流れた。やがて社員は閻魔大王の資格をとったという。だが皮肉なことに社員は生前の知り合いと会うことはなかった。みんな天国に行ったからである。
とにかく上司には媚び、朝から深夜まで、深夜から朝まで働いた。「いつ寝ているのだろうか」と聞くと、社員は「仕事をしながら寝ている」と答えた。しかし、なんだかんだアルバイト社員もパート社員もその男の働きに助けられていたので、何も言わなかった。そして、出世に全力を注いだその社員の行く末を皆で見守った。
三年後、社員は過労で死んだ。
さて、死後の世界筋の情報によれば、今その社員は閻魔大王の資格をとるために地獄で命を懸けているらしい。いや、もっとも地獄なわけだから命はないのだが、閻魔大王にも階級があるらしく、そこで頂点を狙っているという。ぶれないな、と聞いていた者は感心した。
そして数十年の時が流れた。やがて社員は閻魔大王の資格をとったという。だが皮肉なことに社員は生前の知り合いと会うことはなかった。みんな天国に行ったからである。
SF
公開:20/05/22 12:19
えふちゃんといいます。
高校の時から書きためていたショートショートをあげていければな…と思います。
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