群れがやってくる

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私は産業廃棄物処理プラントのオペレーター。丘陵の上にあるプラントは最新デザインの白い建物で、美術館のようだとも言われる。幅広のシャッターを上げるとそのまま処理口へと直結する。処理口は広い。二十メートルの長さ、五メートル幅の巨大なスリットが口を開いてその下は深さ十メートルの谷底である。処理口から落とされた廃棄物は側壁にあたって大音響とともに谷底に落ちるや否や両脇からの破砕機で粉々にされてコンベアで運ばれる。
プラントコントロールは安定稼働のため重要な仕事である。
今日は夏至。夕方になるとやってくる。
丘の下方から見えてきた。様々のロボットの群れ。ロボットが増え過ぎた時代の現象だ。老練なロボットたちがプログラムによらず自発的にあちこちから群れとなってここに押し寄せる。さて、シャッターを開けよう。群れはまっすぐにしずしずと処理口へと向かう。
私も勤務が長い。群れに混じるのもそう遠くないだろう。
その他
公開:20/05/22 08:16

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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