曲者!

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「曲者!」
男は躊躇なく切り捨てた。子供だった。よく見てみると見た顔である。
「はて、どこで見たか」と頭を悩ませていると、突然男の手が透けてきた。そして、男の前に大きな液晶画面が現れた。
「これは一体なんぞ」
試しに触れてみると急に画面がつき、映像が流れ始めた。それは男の人生だった。男は消え行きながら昔のことを次々思い出した。
「これが走馬灯か」
男は目の前で流れ行く自らの人生をじっくりと眺めた。誕生を喜ぶ両親の顔。よく虫を採りに行ったあの裏山の景色。かつてともに野山を駆け回った友の姿。
我ながらに良い人生である。男は感動し、目の前の映像に見入った。どんどん年は過ぎ、画面の中の男は8歳にまで成長していた。
少年は暗い小径を必死に駆け回っていた。男は疑問に思った。
「このようなことがあっただろうか」
少年は角を右に曲がった。すると突然「曲者!」と男が斬りかかってきた。そこで走馬灯は終わった。
SF
公開:20/05/22 07:38

竜泉寺成田

物書きを目指している大学3年生です!
noteで短編を、Twitterでは140字小説を毎日投稿しているのでよかったら見てってください〜!!
ショートショートガーデンは思いつき次第更新します!難しい!いつかさわやかな作品を書きたい!
楽しんでもらえたら幸いです〜。
note:https://note.com/ryusenji_narita
Twitter:@ryusenji_narita

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