とける教頭

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ああ、どうぞどうぞお掛けになって。私、教頭の神野(かみの)と申します。「かんの」じゃないんですよ、はは、よく間違われまして。

いやあ、しかし暑いですな。こう暑いと汗が止まらなくてね、ちょっと失礼して拭かせていただきますね。あ、こりゃ失礼、クーラーでも入れましょうか?あ、大丈夫。じゃあ窓でも。

ああ、それにしてもお互い大変ですなぁ。上には気を遣わなきゃいけないし、下に対してもやいのやいの言われるし、板挟みですわ。肩身が狭いもんで。あはは、おわかりいただけます?こうね、カミが薄いのもねぇ。はは、自虐じゃないんですがね、事実は事実ですからねぇ。

あ、さっきから失礼、どうもね、汗っかきで。ずっと拭いてないとね、やっぱりほら、不快感を与えるかもしれないじゃないですか。

え?さっきからだんだん透けてる気がする?
ああ、水に弱いんですよ、私。
はは、カミが薄いだけに、こうなっちゃうんですよねぇ。
公開:20/05/21 22:54
スクー みんなで脳内旅行

ささらい りく

簓井 陸(ささらい りく)

気まぐれに文字を書いています。
ファンタジックな文章が好き。

400字の世界を旅したい、そういう人間の形をしたなにかです。

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