はるばる先に

0
2

気が付くと私は一匹の蜘蛛の姿になっていた。
風はなく、周りに草木もなければ空には雲も太陽もない。ただ抜けるような青空がそこにあった。
『今君は交通事故に遭って生死の境をさ迷っている。目の前の糸を登り切れば復活のチャンスを与えよう』
天から声が聞こえた。その言葉に嘘はない。そう理解した私は糸を登り始めた。
延々と糸を登り続けているとふと空腹を感じた。
これでは力が入らず登りきる事が出来ない。それどころか腕に力が入らず落ちてしまいそうだ。
ふと周りを見渡すとトンボが飛んでいる事に気付いた。丁度いい。あれを餌としよう。
私は糸を吐き、トンボを捕まえるとそれを食し、上へ上へと登り続け、ついにゴールへと辿り着いた。

『セカンドステージ。この空のはるばる先にあるゴールに辿り着けば君は復活できる』
その声と共に私の姿はトンボへと変わっていた。
目の前には腹を空かせた無数の蜘蛛。もしかしてあの蜘蛛って…
公開:20/05/22 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容