ヨヤトウ・チョウトウハレンゴウ

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ある日、庭のキャベツが死んだ。
出たな賊め。無残な亡骸(芯)を掘り、根ぐらをガサ入れする。
「いるのは判ってる。投降しろ」
投光器代わりの懐中電灯。がさがさ這い出した奴は、
「何か御用で、庭主殿?」
ヨトウムシ(夜盗虫)。昼は地中に潜伏、夜に出没して花や野菜を食害する、ガの幼虫。
「御用だ!大人しく縛につけ」
「白昼の盗人は、我らでなくヤトウムシ(野盗虫)です」
ヤトウムシなど知らん。反論を待たず、ヨトウムシは無視して潜り黙秘を決め込む。うぬぬ、と唸っていると、別の声が舞い降りた。
「この紋所が目に入らぬか!」
黄門様?否、モンシロチョウ。アオムシの親である。
庭壊滅の危機に、新たな勢力が立ち上がった。
「私達にお任せを」
火付盗賊改めならぬ、ヒトリムシ(火盗虫)。
「アメリカンホワイトフォースこと、アメリカシロヒトリ。24時間、樹上監視します」
――とんだ蝶党派連合が結成、庭は壊滅した。
ミステリー・推理
公開:20/05/20 23:40
チョウ型害虫ども…… ※ヤトウムシは創作です。 火盗虫は火取り虫とも。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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