香りたつベランダ
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そのベランダは、イスの上にモノを置くとその芳香で溢れかえる素晴らしいベランダだった。林檎なら甘く爽やかな香り、コーヒー豆なら豊潤で優雅な気分に浸れた。
あるとき家主は、自分がイスに座ってみた。
「おや何も匂わないな?そういえば自分で自分を嗅いでも無臭だと訊いたことがあったな」
探究心がくすぐられた家主は、母と妹を家に招き、イスに座らせてみた。
「母さんもいい匂いではなかったが、妹はもっと酷い匂いがした。なぜだ?妹はオシャレで清潔感があるのに。ん?そうか。近親者には匂いで忌避反応をすると、遺伝子の雑学で聞いたことがあるぞ」
男は次に妻を座らせた。
すると、ベランダ一体に素晴らしい香りが広がった。
「妻とは遺伝子的にも相性がよいということか!」
家主は大層喜んだ。
後日、家主がベランダで息子と遊んでいると息子はバランスを崩してイスにとびこんだ。
ベランダには、それまでで最高の香りがたちこめた。
あるとき家主は、自分がイスに座ってみた。
「おや何も匂わないな?そういえば自分で自分を嗅いでも無臭だと訊いたことがあったな」
探究心がくすぐられた家主は、母と妹を家に招き、イスに座らせてみた。
「母さんもいい匂いではなかったが、妹はもっと酷い匂いがした。なぜだ?妹はオシャレで清潔感があるのに。ん?そうか。近親者には匂いで忌避反応をすると、遺伝子の雑学で聞いたことがあるぞ」
男は次に妻を座らせた。
すると、ベランダ一体に素晴らしい香りが広がった。
「妻とは遺伝子的にも相性がよいということか!」
家主は大層喜んだ。
後日、家主がベランダで息子と遊んでいると息子はバランスを崩してイスにとびこんだ。
ベランダには、それまでで最高の香りがたちこめた。
SF
公開:20/05/21 20:05
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