はるばる先に

0
2

姉は頭が悪い。しかし運動神経は抜群だ。
だから多くの運動部からスカウトが来ている。しかし姉はそれを受けようとせず、今日も部屋で小説を書いている。
頭の悪い姉の小説。何が面白いのか分からないし、才能の欠片も感じない。
だから皆が否定する。でも姉は書く事をやめない。
ねぇ、何で小説なんて書くの?
私の質問に姉は笑顔で答えた。
「約束したの」
約束?
「そう。はるばる先にいる未来の私と。昔、タイムカプセル埋めたの覚えている?」
そんなのあったね。
「あの時埋めた私の書いた小説で貴方が大喜びしてくれたの。それを見て私は将来、小説家になるって決めたんだ」
それだけ?
「後はここまでバカにされた私が数年後、小説家になっていたら皆驚くと思わない?」
それは…凄く思う。
「でしょ?私、ワクワクする事が大好きなの!見てて、あの時より面白いもの絶対に書いてみせるからね未来の私」
そう話す姉は凄く輝いて見えた。
公開:20/05/21 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容