ナメクジとビール

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ある日物干し竿に、ナメクジが干されていた。
いや、ナメクジを洗濯してはいない。奴が物干し竿を選択し、勝手に日干しになったのだ。ぴかぴかのアルミ竿に熱せられ、へりが目玉焼き状態に縮んでいる。
ジョウロで流すと、ぼてっと落ちたナメクジが触覚を振った。礼でもするかと思いきや、
「暴力だ。慰謝料を払え!」
ナメクジめ、人間様をなめ腐っている。
「塩送ってやろうか」
「恐喝だ。法廷で会おう!」
放っておけば、法廷より昇天だったぞ。いらいらに任せて冷蔵庫へ。ナメクジはビールで溺れると聞いた気がする。飲み残しを掴んでリターン。
「お、おぉぉ!?」
後悔しても遅い、金色地獄に溺れてしまえ。冷ややかに観察を続けるも、一向に弱る気配がない。ぬらぬらの背中もキラキラしてきた。
「乾杯だ、また会おう!」
別の意味で酒に溺れたナメクジは、銀色の千鳥軌跡を残し、満足そうに去って行った。
即刻、ありったけの塩をまいた。
ファンタジー
公開:20/05/19 20:11
ナメクジはビールが好き。 量が多いと浸り過ぎて溺れる。 ドイツで有名な駆除方法。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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