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先日、小糠雨の中を横断歩道に差し掛かると歩行者用信号機の「青」が青でした。エメラルドグリーンではなくプルシアンブルーだったのです。
私は「珍しいな」と思い、唐突に手帳のことを思い出しました。
―不思議のメモルちゃん
幼稚園の頃、私は誰かからもらったA7サイズのスパイラル式メモ帳と鉛筆を、首に下げた巾着に入れて持ち歩き、不思議と感じたことをメモしていました。
その手帳の表紙の一方が赤色、もう一方が青色で「答えを知りたい不思議」は赤い方から、「答えを知りたくない不思議」は青い方から書いていました。
あめんぼうが水の上を歩くこと(赤)
逃げ水でぬれないこと(青)
そうやって書いていった最後の、赤と青とが出会うページには、確かこんな不思議が書かれていたと記憶しています。
お父さんのこと
信号が青い青に変り、雲間から日が射しました。
私は家に向かってまた歩き始めました。
私は「珍しいな」と思い、唐突に手帳のことを思い出しました。
―不思議のメモルちゃん
幼稚園の頃、私は誰かからもらったA7サイズのスパイラル式メモ帳と鉛筆を、首に下げた巾着に入れて持ち歩き、不思議と感じたことをメモしていました。
その手帳の表紙の一方が赤色、もう一方が青色で「答えを知りたい不思議」は赤い方から、「答えを知りたくない不思議」は青い方から書いていました。
あめんぼうが水の上を歩くこと(赤)
逃げ水でぬれないこと(青)
そうやって書いていった最後の、赤と青とが出会うページには、確かこんな不思議が書かれていたと記憶しています。
お父さんのこと
信号が青い青に変り、雲間から日が射しました。
私は家に向かってまた歩き始めました。
その他
公開:20/05/19 18:55
宇祖田都子の話
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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