はるばる先に

0
2

運命の赤い糸。私にはそれが幼い頃から見える。
ラブラブな両親の小指は、まるでしめ縄のような太い赤い糸で結ばれている。
両親はこれまで一度も喧嘩をした事がない。太い糸は愛の象徴である。
そんな両親を私は羨ましく思う。だって私の赤い糸はとにかく長いのだ。
昔、運命の相手が気になって糸の先を追って見た事がある。町を抜け、山を抜け、海に辿り着いた。
糸は海の向こうに繋がっていた。どうやら私は国際結婚をするようだ。
大人になった私は海外旅行に出た。運命の相手を探す為に。
故郷を飛び立ち、異国の地に降り立ち、糸の行方を追っていく。また海に辿り着いた。
私の運命の相手とは一体どれだけ遠くにいるのだろう?
再び海を越え、やってきたその土地は何と実家のすぐ傍だった。
短くなった糸の先、そこを見るとなんと幼馴染の家だった。
地球一周して、はるばるやってきた先がこれか…
私は幼馴染の告白を疲れた顔でOKした。
恋愛
公開:20/05/20 18:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容