スマホを落とした！

スマホを落とした。どこにもない。あれには私の全てが詰まっている。あれがなければ仕事も生活も破綻だ！

焦りながら、今日の行動経路を頭でたどった。仕事帰りにゴルフショップに寄り、本屋に寄り、寿司屋に寄って帰った。戻って探すしかない。

結果、どこにもなかった。店員に聞いても「ありません」の一点張り。盗まれたのか？　嫌な想像が頭をよぎる。勝手にネットバンキングやクレジットを使われていたら破産だ。私はすぐに全てのアプリを止めた。

あとは警察へ連絡するしかない。私は最寄りの警察署を調べた。事務方にわけを話すと、担当の警察官にかわってくれた。警察官の質問に全て細かく答え、窮状を訴えた。警察官は同情したのか、出てくれば必ず連絡すると答えてくれた。お願いします、と何度も念押しして、私は電話を切った。
切ってから、私は朝からずっと握りしめているスマホを眺め、とんでもない過ちを犯していることに気づいた。