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いつもとは違う道を歩いていたときにその本屋を見つけた。店先にはひもの特集号入荷しましたという看板が掲げられている。
干物に目がない俺は誘われるまま店内へ。一歩店に足を踏み入れた刹那、俺は驚きで暫しの間棒立ちになった。そこには干物について書かれた書籍が多数平積みにされていたからだ。目についたものから手当たり次第にページをめくる。そしてあることに気がついた。それはどの本にも共通して、ひもので有名な町として俺の出生地が紹介されていたのだ。我が家は転勤族で、生後数年しかそこに居住していなかったので全く知らなかった。
俺は数日後、揚々とその地へ向かった。懐かしい潮の香り。早速本を片手に高評価の店へと向かう。
女将は忙しいのかこちらも見ずに、適当な席へ座るよう俺を促した。
「お客さんひも のなら何が好き?」
「はい、なんでも!」
「じゃあ、私でも?」

戸惑う俺の眼前に、紐で出来た女が立っていた──。
ミステリー・推理
公開:20/05/20 00:00
更新:23/03/06 18:15

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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