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感染症が流行して、国からマスクが届けられた。シイナはマスクを見るのも初めてで、母親に使い方を聞いた。
「息をするときに使うのよ」と、母は言った。
7日後、シイナはマスクをつけて息をしてみた。途端、鼻の中に水が入ってきて、シイナはむせ返ってマスクをはずした。
「ママ、マスクをしたら息ができないよ。びしょ濡れだもん」
「乾かしてから使うものなのかしら」
しばらくマスクを乾かし、それから大きく息を吸い込んだ。いい香りがする。
「毎回乾かすのも不便だわね」
「持って帰ると濡れちゃうもん」
シイナは周りを見渡して、いいものを見つけた。
「ママ、あそこに吊るしておいたら」
「いいわね。息をするときはここに来ましょう」
浜辺にワカメが干してあった。竿の先にマスクを吊るした。
「盗られないかしら」
「人間は怖がりだから大丈夫よ」
「そうね。また船を沈めればいいわ」
そう言って、人魚たちは海へ潜っていった。
「息をするときに使うのよ」と、母は言った。
7日後、シイナはマスクをつけて息をしてみた。途端、鼻の中に水が入ってきて、シイナはむせ返ってマスクをはずした。
「ママ、マスクをしたら息ができないよ。びしょ濡れだもん」
「乾かしてから使うものなのかしら」
しばらくマスクを乾かし、それから大きく息を吸い込んだ。いい香りがする。
「毎回乾かすのも不便だわね」
「持って帰ると濡れちゃうもん」
シイナは周りを見渡して、いいものを見つけた。
「ママ、あそこに吊るしておいたら」
「いいわね。息をするときはここに来ましょう」
浜辺にワカメが干してあった。竿の先にマスクを吊るした。
「盗られないかしら」
「人間は怖がりだから大丈夫よ」
「そうね。また船を沈めればいいわ」
そう言って、人魚たちは海へ潜っていった。
その他
公開:20/05/18 22:59
更新:20/05/20 11:34
更新:20/05/20 11:34
マスク
2018年2月8日SSG登録
Twitter:https://mobile.twitter.com/iruya_rata
<三姉妹シリーズ>
親もとを離れて暮らす三姉妹の暮らしを
ショートショートで綴ります。
長女・葵(あおい) 社会人
次女・茜(あかね) 高校生
三女・翠(みどり) 小学生
そのほか1話モノ。
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