地下迷宮のお惣菜

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 迷宮に、腹の虫の音が響いた。
 「その地下迷宮の奥には、一生食べるのに困らないほどのお宝が眠っている」――この噂を耳にしたとき、冒険家として私の心は躍った。すぐさま準備を整え、迷宮へと乗り込んだ。
 だが、そろそろ限界だ……体力も食糧も底を突いてしまった。
 そんな時、私は奇妙な小部屋へと迷い込んだ。中央のテーブルには、一口サイズのコロッケやソーセージが並んでいる。
 ゴクリ、と喉が鳴った。
 あぁ、食べちゃ駄目だ……私はよだれを拭いた。きっと罠だ――おそらく毒が入っている。今は我慢だ。

 それからしばらくして、ついに私は最奥部へと到達した。
 やったぞ!――と、喜び勇んで駆け出した私だったが……その先は、スーパーの惣菜売り場だった。
 ……これは、まさか。
「あの部屋……試食コーナーだったのか!」
 腹が減っては戦ができぬ――どころか、私の冒険は、腹を満たすための戦だったようだ。
ファンタジー
公開:20/05/19 16:53
更新:20/05/19 17:03

ぢろ吉郎


11/4~11/13の期間、「勝手に秋のお茶漬けデー」と題しまして、お茶漬けの物語を投稿中!(ストーリーに繋がりはありません)
11/4:「御茶ノ漬駅へようこそ」
11/5:「茶漬湖の底へ」
11/6:「神々しきお茶漬け」
11/7:「お茶漬け勇者の箸と匙」
11/8:「茶漬中毒」
11/9:「米どころ、茶漬けの祟り」
11/10:「茶が先か、卵が先か」
11/11:「檻の中。お茶漬けと一人」
11/12:「お茶漬け博物館」
11/13:「明日のお茶漬け」
お茶漬け、完結。充実したお茶漬けデーになりました……!
Twitter、ゆった~りと更新予定です。
https://twitter.com/dirokichiro?s=09

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