無果汁

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 そこが何処かなんて誰も気にしちゃいなかったのさ。

 一定の時間で色が変わる世界に知性は根付かない。そんな世界で育った僕に忍耐と理性を要求するなんてなんて愚かな人達なんだろう。混ざった今でもそう思う。愚かなのは僕じゃない。あなた達だ。

 緑から橙に変わる頃にいつも亀裂が走る。両方向から力を入れられて千切れたトランプの真ん中をいつも御守りとして持ち歩いているのは誰だ。僕だ。

 忘却の果てから足を引き摺りながら鉛色の過去を携えて橋を渡っているのは誰だ。あなた達だ。

 両極端に広がる存在と握手を拒むのはいつも決まってあなた達だ。僕じゃない。それは決して僕じゃない。

 そう言いながら流れる虹の川に無色のジャンクフードを流し込んでいるのは誰だ。それは僕だ。

 金色の庭に埋葬されたのは誰だ。僕はいつまでも無色のまま────
その他
公開:20/05/19 15:32

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