バナナ好き。そして桜。

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丁度、出会ったのは2年前の花見の席だった。
僕は恋に落ちた。
「バナナ、好きなんですか。」そう、言った。
桜も霞んでしまうぐらいに、僕の気持ちは高まっていた。
薄いピンクのワンピースが彼女を一際、輝かせていた。
「もう、一本どうですか?」そう、言った。
ビールが美味い。このミスマッチなバナナと良く合う。
口数も多くなり、上機嫌だった。

その女性は社内では有名だった。
課長と不倫関係なのではと噂の女性だった。
陽気には振る舞っていたが、時折見せる表情が寂しそうで、心に傷をおっているように見えた。

そういえば、課長はよく、バナナシェイクを飲んでいた。
誰の影響か。多分、この女性の影響だろう。
若くて、美しい、この女性はきっと、僕を課長に重ね合わせていたのだろう。
そんな、切なさが残る花見の席で、桜を見ながら、少しだけ恋をした。
桜の花が散りゆく時、僕の恋は終わった。
その他
公開:20/05/19 14:44

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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