タイムマシンの使い方(最終話)

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 3人の博士達のタイムマシンは其々の分野で文句なしの高性能だった。そして互いの欠点を補い合いA氏の欲求は完全に満たされていた。
 長年の念願が叶い、この幸せは永遠に続くと思われた。
 しかし、いつものように2号機で過去から戻され、3号機でその間の記憶を想起させたA氏は妻の言葉に泣き崩れた。
「あなたが未来からこうして来てくれるのは嬉しいわ。でも、今のあなたと未来のあなたを同時に愛する事はできない。本当にあなたを愛してるから。どちらも裏切れないの。
 あなたが未来から会いに来てくれるという事は、未来の私に会えなくなる何かがあったのでしょう。だとしたら私はそれまでを今のあなたと精一杯に生きていきたいの。未来のあなたを後悔させない為にも」
 博士達のタイムマシンが高性能で忘れていたが涙を拭うA氏の手はシワだらけの老人になっていた。
 それからしばらくしてA氏は妻の元へ旅立った。
 時空を超えて。
その他
公開:20/05/19 18:00
更新:20/05/19 19:22
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NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
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