ある転生の話

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「まあ紅茶でも飲んで落ち着きなされ。」

真夜中の交差点。多重衝突事故現場は凄惨な状況だ。彼方でワゴン車が炎上し、その火に照らされた周辺には横倒しになったSUVが見え、路面にはトラックの荷台からばらまかれた段ボール箱が散らばっている。

そして、フロントがグチャグチャに壊れてドアが全開になった軽ワゴン車から放り出された女性らしき服装が路面に転がる姿をわたしは見下ろしている。

「残念ながらああいうことになったわけじゃ。」

「あれが、わたし……」

「して、これからそなたを転生させることになるのじゃが、何か希望はあるかの?」

「希望って、なんでも聞いてくれるの? だったら今すぐ生き返って彼のところへ行きたい。早くそうして!」

「それは残念ながら無理なんじゃ。」

「じゃあ、彼のいる世界に生まれ変わらせて!」

ーーー
「そういうわけでわたしがここにいるの。驚いた?」

娘がそう言った。
ファンタジー
公開:20/05/18 20:00
340 異世界じゃない転生とは? 輪廻転生のことかも 平田篤胤も書いてるしね オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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