マイ・スイート・ホーム

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二十二世紀の日本は、二十一世紀の少子高齢化が落ち着き、人口が八千万人となっていた。それでもピークの一億二千万人と比べれば激減だ。
地形上、山脈が多く住める平野が少ないため、人口密度が高かった日本列島も今は昔。地価が下がり、関東では東京の田園調布、関西では兵庫の芦屋といった超高級住宅街でマイホームを持つことも普通のサラリーマン世帯で当たり前となっていた。
そこで、住宅メーカーは挙って「マイ・スイート・ホーム」を売り出した。楽しい我が家、新婚家庭といった意味だが、それだけではない。甘味、つまりスイーツでできた食べられる家のことだ。
和菓子と洋菓子からセレクトでき、あんこでできた洋館ならぬ羊羹住宅、パイ生地でできたアップルパイハウスが特に人気だ。健康を害さない防腐剤で加工しており、食べた分だけ補修すれば元通り。
ただ、マイ・スイート・ホームの住民には、太った人、虫歯や血糖値の高い人が異常に多い。
その他
公開:20/05/17 07:05
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山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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