はるばる先に

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僕の一歩は小さすぎて、彼女の一歩は大きすぎる。
彼女は決して大きくない。僕が小さすぎるのだ。
その小ささから一寸と呼ばれる僕は周りからバカにされた。
武士になる。僕が夢を話すと嘲りは大きくなった。だけど彼女だけは僕を笑わなかった。
「私の夢は外の世界に出る事。でも、それは叶わない夢」
彼女は良家のお嬢様。家の外はおろか下手をすれば部屋の外にも出られない不自由を強いられている。
「私も貴方くらい小さければこの家から抜け出せたのに…」
僕も君くらい大きければ武士になれたのに…
そう願った時、奇跡が起こった!
僕の体は大きく、彼女の体は小さくなった。僕らの間には『元に戻りたくばこれを使え』と書かれた手紙と共に小槌が置かれていた。
その日、僕らは旅に出た。彼女が願った、はるばる先に向かう旅に。僕はそんな彼女を護衛する武士だ。
知っている昔話と違う?
それはそうだ。これは僕らの駆け落ちの話だからね。
ファンタジー
公開:20/05/17 18:44

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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