愛煙気炎

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 私はあなたを愛したけれど、あなたは私を愛してくれない。一時の快感をくれるだけの炎。触れたら、痛くて火傷する。
 今日もまた、煙に巻く口元。あなたの言い分はもう聞き飽きた。私はあなたがどういう悪か、十分この身が知り尽くしている。嫌というほどわかっているから、それ以上外面で主張しないで。一度口に点けた毒は最後まで呑み込むわ。望めば心中してあげる。
 でも、気が付いてしまった。熱くなっていたのは私の方。
 この愛は永遠に一方通行。あなたはもう燃え尽きてしまって、私をどこまでも傷付けるだけ。一緒になんて無理。私がひとり、おぼれて死ぬだけ。
 火照った息を吸い込むたびに、胸の奥が痛んでしょうがない。
 最近寝覚めが悪いの。悪い夢を見て、息が苦しくて飛び起きる。
 もう別れなきゃ。これで最後。何度も何度も言い聞かせる。
 サヨナラ。もうバイバイ。二度と口付けはしないでしょう。
 これが私の禁煙宣言。
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公開:20/05/17 16:08

直見逸

なおみ いつる、です。
ツイッターでは「瀬々幾」と名乗っています。
一日一本を目安に書いていきます。普段は長編とか色々書いています。

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