西洋館の幽霊(最終話)

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 数日後、出勤時に島田師長から手紙を渡された。
「立中君。本当にありがとう。おかげでみんな元気だ。優介も、もう歯軋りしなくなった。元気に野球してる」
「もういいですって。それよりこれは?」
「ああ、優介から君に『幽霊ポストに出しといてくれ』だそうだ」

『拝啓 幽霊様。
その節はお世話になりました。
お陰様でうちはみんな元気です。
水本先生も。
僕の最後の願いです。
いつも人のことばかり心配して走り回っている立中さんに、どうか素敵な人をみつけてやってください。
あの人は自分の事は全然ダメなんでどうかよろしくお願いします。
立中森一の親友 島田優介』

 俺も彼らのように強く前進しないとな。
…もしかして水本先生は、俺に気持ちを整理するきっかけを与えようとしてくれたのかもしれない。

 この約6年後。
 県内有数の進学校が初の甲子園出場を決めた。チームを引っ張ったのはあの3人の幽霊達だった。
ミステリー・推理
公開:20/05/17 14:00
更新:20/05/23 14:24
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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