受け継ぎの箱
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若い頃、巷ではどんなモノでもそのまま残せる「受け継ぎの箱」が流行っていた。私がトオルと交換したのは結婚して1年目の夏だった。
「お互いにもし何かあったら開けよう」
そのときが来た。おもむろに紐を解くとメモリーが再生される。
『カナコ、これは君と幸せを噛みしめたときのモノだ。愛してる』
鍵が開いた。入っていたのは、
「ぎょう、ざ?」
たしか結婚して初めて作ったものだ。ピンときて、一口で頬張る。
トオル、あのときの餃子にはひとつだけ当たりがあったのよ。全く運の良い人。
薄れていく意識の中、若い女の肩を抱くトオルを思い出した。婚約中なのにと、悔しくて夜明けまで泣いたことも。
私はある薬をクッキーに入れ「あなたを解放してくれる」とメモリーをつけた。ああトオル、なぜ箱を開けてしまったの。まあいいわ、向こうで存分に話を聞いてあげる。
どうしようもなく愛してるの。
ずうっと一緒よ。
「お互いにもし何かあったら開けよう」
そのときが来た。おもむろに紐を解くとメモリーが再生される。
『カナコ、これは君と幸せを噛みしめたときのモノだ。愛してる』
鍵が開いた。入っていたのは、
「ぎょう、ざ?」
たしか結婚して初めて作ったものだ。ピンときて、一口で頬張る。
トオル、あのときの餃子にはひとつだけ当たりがあったのよ。全く運の良い人。
薄れていく意識の中、若い女の肩を抱くトオルを思い出した。婚約中なのにと、悔しくて夜明けまで泣いたことも。
私はある薬をクッキーに入れ「あなたを解放してくれる」とメモリーをつけた。ああトオル、なぜ箱を開けてしまったの。まあいいわ、向こうで存分に話を聞いてあげる。
どうしようもなく愛してるの。
ずうっと一緒よ。
ミステリー・推理
公開:20/05/16 17:01
更新:20/05/16 17:09
更新:20/05/16 17:09
のんびり屋の気まぐれショートショート
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