西洋館の幽霊(16)

12
8

 その日、良行君が幽霊に宛てた手紙の内容を忘れない。

『ゆうれいさんへ
いつもありがとうございます。
おかあさんがてんごくでげんきにしているときいてあんしんしました。
いま、ぼくがいちばんしんぱいなのはにいちゃんのことです。
いつもぼくのことばかりいちばんにしてくれます。
おかあさんがなくなってから、にいちゃんだってかなしいのに。
にいちゃんもすきなことをしてほしいです。
もし、かみさまにあえたらおねがいしてください。
ぼくはもうだいじょうぶです。
にいちゃんがすきなことをできますように。
おねがいします。 よしゆき』

 子供部屋が静かになり暫くしてから島田さんには遠慮してもらい、俺は1人で中に入った。
 そこには良行君の手紙を手にした優介君がいた。
「これ、立中さんが良行に書かせたの?」
「俺は1番の願い事を書くように伝えただけだよ。本当によく頑張った。もう自分の好きにしていいんだ」
ミステリー・推理
公開:20/05/17 12:00
更新:20/05/18 15:53
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容