入る神

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乾いた空気に光があたって部屋一面バターを溶かしたような世界に包まれていた  そいつは本当にいたんだ
立派な腹にほっぺたはブルンブルンしている
まわりには見えないが
誰かに褒められるとやつのほっぺたが少しずつ膨らんでいく
誰かと会う時も気が散って落ち着かない
透き通った眼差しでこっちを見られると
「来るな」って言えなくなるんだ
時々眠っている俺にあったかいものを注入してくれる
次の日には体が軽く気分もいい
「いなくなったりしないよな」

朝起きるとおじさんがいつも背負っている袋がベッドの横においてあった
中を覗くと綺麗な虹色に輝くアメ玉がはいっていた
「一個くらい大丈夫か」
この日からだった
姿を見なくなったのは

俺は結婚して 
子どもが産まれた
充実した日々を送っている
おじさんは見えなくなってしまったが
我が家に生まれてきた子はほっぺたがブルンブルンで

おじさんにそっくりだった
ファンタジー
公開:20/05/16 15:23
更新:20/05/16 17:59

ミルコ

挿絵はコロナで展示ができなかったチビ太さんにご協力して頂きました

ものづくりをしてます

よろしくお願いします
 

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