愛ゆえに母

2
3

母が幼い私にした話。
坂道から流れる赤黒い血を辿っていくと、お腹から赤子が飛び出した人を発見。
母が僅かな好奇心から携帯で写真を撮影。
瞳から溢れる涙や舌を突き出してよだれまみれな顔。
真っ直ぐ手を伸ばした姿や血溜まりとなった全体像までも写真に収めた話を、当時の携帯を眺めながら話していた時、私は携帯の画面に反射する人の姿を見た。
言語化できないほどの恐怖を得たのは、その時でした。
しばらくすると母が「痛い……痛いよ」とお腹を押さえて涙を流す。
私は「大丈夫?」と声をかけましたが、母は私の声などに耳を貸さずに台所まで歩いた。
包丁を手に持つとお腹に何度も刺しながら泣き叫んだ。
病院に運ばれた母が最後に私と交わした言葉はありませんでした。
親戚の家で暮らしてから数年後母は自ら命を絶った。
時折鏡の前に立つと母の携帯から見た人が私の頭を撫でるのを見ても目をそらすことしかできないでいる。
ホラー
公開:20/05/16 14:19

曇かな

試しに小説を書いてみようと思いました!

短めの内容だと伝えたい言葉のすべてを入れることができないので難しいですけど、なかなかやりがいのあるものだと感じます!

良かったらコメントなどもどうぞ!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容