触れられたくないこと

誰にも１つくらい「ふれられたくないこと」がある。
体のこと、家族のこと、過去のこと、いろいろ。
きっと、みんなちっちゃいお守りみたいに、どっか見えない場所に
大切に隠している。

お父さんとお母さんの大きな声、小学生の私と妹は
眠ったふりをして布団の中で震えていた。
それから、お母さんには会ってないし、何があったのかとお父さんにも聞いていない。

よくある話なのかもしれないし、割り切って生きていける人もいるかもしれないけど、
これが私のふれられたくないこと。
友だちから家族の話題が出るたびに、早く終われと思いながらずっと過ごしてきた。


最近好きな人ができて、私のふれられたくないことに触れてもらった。
とても真剣に、そして優しく。
そして分かったことは、私のふれられたくなかったことは、
私がずっと聞いてほしかったことだった。