追い出された俺

今朝、俺は俺に追い出された。


話し合いもなく俺は強引に追い出されたのである。

俺は俺でなくなった時、どうしようもない不安に襲われた。


「今日から俺が俺として生きるんだ。今までの俺は邪魔だから俺の前から消えてくれ」


俺はここで俺を追い出されたら永遠に俺に戻れなくなるような気がしたので必死に食い下がった。


「待ってくれ、俺は20年間俺として生きてきたんだ。それを無理矢理追い出すのは納得がいかない」


「今までの俺は俺の声を一度でも聞いてくれたことがあったか？自分が俺の全てだと思って俺の声なんて聞こえてないフリをしていたんじゃないか？」



俺はドアを開けて俺をドアの外へ押し出した。


俺でなくなった俺から見える世界は全ての意味を失っていた。