エイリアン・フィズ

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「シュー」
 炭酸のボトルが小気味のいい音を漏らす。あなたが満足そうに喉を鳴らすから、私もどこか調子がいい。火照った頬を誤魔化すように、グラスの氷を回して話す。

「フィズっていうのは、炭酸を開けた時の音を表した擬音なんだってさ。勿論、甘酸っぱい味付けで割った飲み物もフィズ。私にとって甘酸っぱいフィズは恋の味になるのかな?」

 笑っているのか、照れているのか。変化の乏しい表情だから読み取りにくいんだけど、喜んでいるのはちゃんと分かるよ。近づき触れ合う肌と肌。口付け舌先、痺れて溶ける。

「シュー」
 炭酸の泡が弾けて、ハァトカス。
 あなたがフィズを飲み込むから、私のお腹もぺっこり凹む。
 甘くて酸っぱい恋の味。溶かされたハートをフィズにして、飲み込むあなたはエイリアン。薄れゆく意識で聞いたあなたの言葉も、ちょっぴりキュートに聞こえるわ。

「シュー」
 私はあなたのエイリアン・フィズ。
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公開:20/05/16 19:24

直見逸

なおみ いつる、です。
ツイッターでは「瀬々幾」と名乗っています。
一日一本を目安に書いていきます。普段は長編とか色々書いています。

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