静かなかお。

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何を考えているのかよく分からない。
予想不可能。
散々、周りの人から、けなされ、ののしられ、傷ついてきた。
自分は生きてる価値もないのだと、自分を蔑み、他人とは関わらないで生きてきた。
「おじさん、何考えてるの?」
今まで見たことない満面の笑みで少女は尋ねた。
「いや、何も。」男は言った。
彼の心は閉ざされていた。
心は何も感じなくなっていた。
ただ、その場を乗り切る為に、反応しなくなっていた。
「何が好きなの?」少女は言った。
「私はケン玉が好きなの。」
満面な笑みで言った。
嬉しそうにケン玉の歴史から、誰が名人なのか、様々、こと細かに語り続けた。
ケン玉の先がわずか2ミリのケン玉技をみせた。
「それは私も出来るよ。」男は言った。
そして、笑った。
「凄いね。おじさん!私は何度やっても成功しないの。」
男は熱心に少女に指導した。
男の凍りついた心を笑顔と情熱が静かにとかしていった。
その他
公開:20/05/15 21:50

ポエマータカノ( 横浜 )

愛を言葉で伝える事が使命だと感じている。
42歳のおじさんです。
カラオケ、料理、笑わすこと、読書、哲学、物思いにふけること大好きです。

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