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最初は友達の消しゴムを盗んだ時。指先にホクロが出来たのかと思った。母は俺の指を見て「お前が手を汚すなんて…」と号泣した。指先の黒点は何度手を洗っても消えなかった。
俺は両親に愛想を尽かされ、友達からも嫌われた。そして俺は俺自身を諦めた。世界を諦めた。悪者となった俺は次々と悪事に手を染めた。
気づいた頃には、手首まで真っ黒になっていた。そして両手が磁力を持った。だから俺は常にゴム手袋を装着している。悪者が手袋をするのは指紋を隠すためじゃない。してないと釘やナイフが飛んできて手に刺さるからだ。
ある日、手袋からはみ出した俺の黒い手に手錠が飛んできてガシャリと嵌った。
俺もここまでか。
最低な人生だった。
もっと早く足を洗えば…。

足を洗う!?

俺は急いで石鹸で足を洗った。泡だらけの手で足を擦ると、手まで白くなった。
やった!
あとは手錠だ。

不意に肩を叩かれ振り向くと、警官が睨んでいた。
ファンタジー
公開:20/05/15 21:36
更新:20/05/15 22:16

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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