2
7

寝転がりながら、着ている服の袖のあたりをぼうっと眺めている。よく見るとしわの形が、植物の気孔みたいだなと思う。
しばらくそのままでいると、それがパクパクと動いたような感じがした。まさに、植物が呼吸をするときに気孔を使うのと同じように。
瞬間、自分の体に異変を感じた。
スースーする。冷たい空気が体中に入ってくるような感じ。
つい先ほどまで眠気でぼんやりしていた頭が、途端にすっきりする。
「なんだこれ?」思わず独り言を呟く。

あれ?

呟いたはず、なのに、声が出ていなかった。どうしてだろう。気になって自分の口元に手をやってみる。
口、あるよな。その感触を確かめながら、鏡の前に行く。

……口、じゃない。口だったはずの場所が気孔になっている。自分の意思に関係なくパクパクと動く。
後退りしようとして気づく。足が植物の根のようになってフローリングに絡みついている。

全身の気孔がパクパクと蠢いた。
ホラー
公開:20/05/15 19:14

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容