雲の糸

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ある日、遥か雲の上から一本の太い糸のようなものが垂れてきた。引っ張ってもまったく切れそうにない。
そこで『ジャックと豆の木』の少年のようにのぼってみようと思いついた。
糸には適度な粘り気があり、意外によじのぼることができた。
のぼっている途中、雲から雨筋のような細い糸が無数に降ってきた。その糸が絡みついてきてのぼりにくかったが、めげずにのぼり続けた。
そして、とうとう雲に辿り着くと巨大な蜘蛛の巣があった。
すると、巣から出てきた大きな蜘蛛が追いかけてきたので、急いでのぼってきた糸で下へおりていった。
あともう少しで地上というところで大きな蜘蛛に追いつかれそうになった。その瞬間、糸が切れた。
無事地上に舞い降り、大きな蜘蛛は途切れた糸に揺られながら雲とともに遠く彼方へ去っていく。
雲を見上げると、お釈迦様が下界を覗きながら微笑みかけてきた。
この場面、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』と逆な気がした。
その他
公開:20/05/16 07:12
『ジャックと豆の木』 雨筋 蜘蛛の巣 蜘蛛 お釈迦様 下界 芥川龍之介 『蜘蛛の糸』

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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