西洋館の幽霊(11)

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 良行君は西洋館の幽霊に手紙を託し、天国のお母さんと互いの近況報告をしていた。おかげでお母さんが天国で元気だと知り安心したけど、今は優介君が1番心配だと話してくれた。

 そして塾の日はやってきた。
 2人の通う学習塾は18:30からで島田邸からは自転車で10分もかからないが、2人は18時には自宅を出た。10月下旬の今は日没を過ぎている。
 俺は2人の出発を見届けると塾ではなく西洋館近くの高台から様子を伺った。
 自転車のライトが2つ。やはり2人はやって来た! そして門の近くの郵便受けに手紙を入れると西洋館に向けて手を合わせた。
 その時、西洋館のテラスに白く光る人影がぼんやりと浮かび、やがて静かに消えた。幽霊だ! やはり西洋館に幽霊はいた!
 2人はそちらへお辞儀すると塾の方向へ向かった。
 俺は2人と入れ替わるように西洋館に向かった。どうしてもあの優しき幽霊に会わなければならなかった。
ミステリー・推理
公開:20/05/16 17:00
更新:20/05/29 01:03
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
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