ジレンマ

ガタン！
「止まった」
「止まったね」
最近なんだかよく分からないけど、仲良くなっていた女の子と遊園地に来ていた。
そこで「止まった」と言えば、観覧車だ。
「ねぇ、隣行っても良い？」
そう言われても、普通に「いいよ」と言える。ドキドキはなく、一緒だと素でいられる。
でも、男同士でいても素でいられない僕にとって、その子は特別な存在なのかも。
「・・・あれ？」
「どうした？」
「あ、いや・・・」
心境が・・・。
ジレンマが僕を襲った。
告白しても大丈夫そうだけど、今の関係が壊れるかもしれない。
だが今の関係のままでは友達のまま。
ここは思い切るか・・・。
「こ、恐い・・・」
思わず声が出てしまった。
「大丈夫。すぐ動くよ」
「あ、そうじゃなくて・・・。えっ！？」
手を握られた。
強く握られた。
「恐いからこのままでいて」
そう言われても、僕はもうこのままではいられない！
ガタン！
動き出した。