芸術家のダイイングメッセージ

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彼はこの国で一番の絵描きだが当時は悩んでいた。

彼の作品を巡って国が争い、たくさんの死者が出たことに彼は苦しでいた。

「絵が描けないんだ」

僕が電話に出るといつも泣きそうな声だった。


「あなたは素晴らしい絵を描いている」

「僕が描く人の絵は人からみたら人に見えないんだ、普通に描いているつもりでも普通にはならないんだ」

たしかに、彼が描く人の絵は常軌を逸していた。

彼が描く人物の目は歌い、口は階段を登り、鼻は全てを拒否しているのだ。


正直、もう少し生きている彼の作品とその悩みを共有したかったのだが、そろそろ僕は彼を殺さなければならない。


それが未来人である私の仕事なのである。


未来からやってきた僕が彼を殺して、彼が最後に残したのがこのダイイングメッセージである。


そのダイイングメッセージが描かれた絵は今もたくさんの人々に希望を与えている。
私もその中の一人だ。
SF
公開:20/05/15 22:06

ばるさみこ

初心者ですがコメントやアドバイス等よろしくお願いします。
 

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